フィッティング関連

モダン・先セル考

先セル部は、耳裏の頭部に接触する部品なので、材質が肌に優しいことはもとより、形状的には接地面を広くとり、ピークを出来るだけ作らないように圧の分散をすること、その接地面の広さによりフレーム全体の前ズレに対し、静止摩擦を稼ぐことが必須条件といえるでしょう。
Img_0847
つまりメガネフレームの機能面の一つを担う部品であることは、言うまでもありません。

しかしながら、昨今取扱を終了したフレームでは、接触面が丸みを帯び、肌への接触ではピークが出来やすく、丸いがゆえに、接地面を稼げないという不可思議な形状を持っていました。

そして前枠が軽かろうが、重かろうが、それは一貫していて、ある意味、美意識は統一されているものの、機能商品であるメガネフレームとしては、チタミックスーパータフに及ばないです。

この部分は、ほかの身の回り品で例えるのは、なかなか難しいです。

あえて言うと、全く違うジャンルになりますが、パソコンのマウス。多少の軽重や付加機能の多寡があるにせよ、手指への接触が伴いますから、持ちやすい・操作しやすい等、人が触って使うモノとしては、皆だいたい似た形状へと必然的に収斂されて来たと考えても良いのかなと思います。
Img_0848

時たま、突飛なデザインのマウスが現れたとしても、それは人が使いやすいかどうかというところで、評価が決まることは言うまでも無いでしょう。

フレームの先セルに関して、異なるメーカーであっても、ほぼ近い形をしているのは、同様に必然性でそうなるといえます。
結論的に偏った美意識のみの発想では、うまくいかない部位です。

|

前傾角の通説

常用眼鏡の前傾角が、浅すぎたり深すぎたりすると芳しくありません。
光の入射がレンズの後面へ直交するのが、理想だからです。

では、どのぐらい前傾角を付ければ良いのかは諸説あります。全くノータッチの廉価店員さんもいますが、中には深くする方が難しいので、自分のテクニシャンぶりをアピールするため、とにかく深くすると決め込んでいるかたもおられるようです。

通説では、常用で「歩行時の視線は10~20m先の地面に向いている」となっています。ただ実際10mと20mでは、かなりのひらきがあり、最大で約5度もの違いが生じてきます。

07240052
この角度は中学生レベルの三角関数の計算で出てきます。

通説の最大と最小での比較は以下の通り。
おこさん・地面から目の高さ100cmの場合、
10m先は5.7度  20m先は2.9度

大人の女性・地面から目の高さ150cmの場合。
10m先は8.5度  20m先は4.2度

大人の男性・地面から目の高さ165cmの場合。
10m先は9.4度  20m先は4.7度

20mではかなり浅い前傾角になり、常用なので近見もするわけで、その時の光の入射角を考えた場合、浅すぎるとみて良いでしょう。

なお通説の近見用眼鏡の前傾角は15度とされています。これは約6m先の地面に視線を傾けた時の角度と同等です。

従って、常用眼鏡においては、20mの想定はやや無理があり、10m先の地面とするほうが、近見時のエラーを軽減できそうです。

|

カガミの上のワンちゃん

フレームのフィッティングのために用いるグッズです。ある程度かわいげのあるものの方が良いかと思いまして・・・。(^^

Cimg1710

Cimg1711

鏡の反対側の方がかわいいのです~。

|

フィッティング後のフレーム

大阪は連日蒸し暑いです~。
梅雨入りした直後、カラカラに晴れ上がり、これはまた渇水-水不足になるかも・・・、と心配していましたが、ちゃんとプログラム通り雨が降りますね。

10300076

それはさておき、フィッティング関連で何か書こうと先週から模索しておりましたところ、以前献血の記事でご紹介した座間市の木部氏(MASTER OF OPTMETRY)が、自身のブログに画像つきで要点をふまえた書き込みをなさってたので、ハイパー他力本願の^^;=リンク掛けに致します。

http://optkibebe.blog55.fc2.com/blog-entry-202.html

|

フィッティング「魂」・・・主従!?の明確化

仮にフィッティング中にパッド足がロー離れを起こしてしまったとします。日本製であっても作業中、ごくまれに起こることがあります。これは可動させるパッドの部品ロー付けの甘さが原因になりますが、そういう現象を恐れて、殆どパッド足を動かさずにフィッティング終了、その結果ズレズレ眼鏡、となるぐらいだったら、剥がれても構わないから必要なところまで動かす。もし剥がれたら、それは可動部ロー付けの強固さを保てないそのフレームの瑕疵なので、日数を頂いてフレームの取り替えをし、再度過不足無くフィッティングする、という姿勢こそ満足出来る仕事になると考えています。

また「パーツ交換もいとわず」ということはホームページで掲出しています。

08100059 Np30img

例) NP-30seriesパッドアームの取付

05070042 05070044

--------------------------

11030054

↓例)E-430 パッドアームの取り替え

11030058 11030062 11030063

11110085 11110088

↑玉型の変形を防ぐため、必ずダミーレンズ(この時はカラー付き)を装着して作業します。

                     注)自店販売品のみ対応させて頂きます。

補足するなら眼鏡のフィッティングにおいて、フィット感が「主」で、メーカーの初期設定部品(例えば鼻パッド=鼻当て)を含め、パーツそのものは「従」となります。ロゴが入っていたり、特徴的な形状をしていても関係有りません。せっかく一流の眼鏡専門ブランドのフレームを買ったのに、すぐ鼻眼鏡になってズレズレ、ということは私の総力を挙げてゼロに近づけたいワケです。

12020108
つまりその「主(=フィット感)」の前には、ソリッドブルーのフレームもテオのフレームもジャポのそれも999.9フレームも従ってもらって、お買い上げ頂いたユーザー様とのマッチングの良いパーツに入れ替えることは、全くいとわないという指向性を意味しています。その結果手に入れることの出来る「フィット感」こそが何よりの価値になると考えているからです。

|

度数とレンズ種は同じで

前眼鏡が何の変哲もない度数で、
RS-5.75
LS-6.25 PD66(常用)

もともとのフレームを(1)としましょう。

0724005207240048(1)

     

度数とレンズ種は同じで良いので、それを(2)の
フレームに入れたとします。

07240051 07240047_2 (2)

      

加工に誤差はなく、完全にコピーして、
フィッティングにおいても、レンズと目の距離(頂間距離)
を同じぐらいにしたとします。

なのに、何かが違う。装用感覚が違うような気がする。
さて何が違うのでしょう?

(1)は前傾角(傾斜角)が5度、
(2)のそれは、15度。

他に「そり角(顔面カーブ)」は(1)がほぼ0度で
(2)は片眼3度。

眼鏡のプロの方はこれでピンと来られたと思います。

これで違いは分かりました。そこでこれらが違うと、
どのような変化が現れているのか、「この差なら慣れる」
または「手を加えてみよう」という次の手の材料として
量を知っておくと分かりやすいです。

まず(1)の水平視線における実装度数を知ることから
始めなくてはいけません。しかし単純に
RS-5.75
LS-6.25
ではいけません。これは視線がレンズの光軸と一致した時に限られる値で、実際上はそこを通して見ていることは希であり、むしろ光軸外に視線が通っている事の方が多いのです。フレームがいくらかの前傾角やそり角を持てば、水平視線はすでに光軸外となるわけです。(水平視線を基準とするのは、比較には何らかの基準が必要だからです。また水平視線は後側頂点を通ることを基準とします。)

では水平視線の実装度数とは?
RS-5.75
LS-6.25 
にそれぞれ前傾角とそり角を与えなくてはいけません。
そうすると(1)は前傾角5度
RS-5.765C-0.043AX180
LS-6.266C-0.047AX180 そり角は0なのでこれが水平視線にした時の実装度数。

(2)では前傾角15度
RS-5.878C-0.386AX180
LS-6.39 C-0.418AX180
さらにそり角3度を与えます。
RS-5.889C-0.381AX178
LS-6.413C-0.401AX2

つまり「何かが違う」「装用感覚が違うような気がする」というのは
(1)
RS-5.765C-0.043AX180
LS-6.266C-0.047AX180 と
(2)
RS-5.889C-0.381AX178
LS-6.413C-0.401AX2
という角度で起こる度数変化による違和感だったのです。(AXは近似、小数点以下は3位までを表記)

しかし、意外と大きい差ですね。

対応としては、前傾角・そり角の修正・調整になります。しかしこれら角度を調整出来ないフレームも実際に存在します。

・・・やはりフィッティングというカスタマイズ作業、フレームのフィッティング対応度・融通性は、見え方を含めた装用感に関する最重要課題の1つであることは間違いないわけです。(ただし、このケースは光学的要素のしかも1~2つのパートにしか過ぎません)

もっと深いカーブはより大きい度数変化を呼びます。今回の例より遙かに深い中途半端なそり角(顔面カーブ)をつけたフレーム製作を続けているメーカーがあり(サングラスではなくメガネフレーム)、それはこの手の光学的要素に疎い事を示しています。フレームは光学レンズが入る事を前提とした「機能商品」であることが分からない人もデザイナーの中には含まれています。意気込んで独自性を持つ奇抜なデザインに仕上げたけれど、度数がおかしくなってしまうというのでは、機能商品デザイナー(非芸術家)としてありふれた伝統的なデザインには一歩も二歩も及ばなかったという事になります。

単にカッコイイからという理由では済まされないのがそり角・前傾角です。取扱店としてはしっかり吟味しておかないと、あとで自分たちが大変なのです。(^^;

|

999.9 S-240Tseriesの優秀性

05100005_2 999.9(フォーナインズ)のS-240Tseriesは
名番と呼ぶにふさわしいモデル群です。
画像はS-246T c4。<<2000年発表>>
その理由の1つはフィッティング対応度が非常に高いところです。

左右の眼とレンズの間の距離(頂間距離)など重要ポイントは
いろいろありますが、一例として。

05100002_2  ↓
左右の耳の高さが違う
  ↓

ブライヤーで掴み曲げを加えて耳の高さに合わせる

05100003

  ↓

腕をたたんだ時に、綺麗に揃わない
  ↓
ヨロイ部を掴んで、ひねることによりその不揃いを解消

05100008 ここで重要なのは、「つかみどころ」があるかないか、
これは「フィッティング対応度」的にはずせないところです。

また「つかみみどころ」が有っても、材質の適度な「硬さと軟らかさ」は必要です。軟らかすぎて簡単に元に戻ったり、バネ性が有りすぎて調整を保持出来ない(形状記憶など)、または硬すぎて調整出来ないなどは論外です。その点も240シリーズは見事にクリアしています。

*前傾角(横から見た視線とレンズ裏面の角度)の調整時も、ブライ
 
05100006ヤーで似たような掴みかたをします。大変重要な「つかみどころ」です。 

さて画像のS-246Tですが、しっかり掴み所があり、カスタマイズのすべてに対応出来る優れたフレームのひとつで、名作に違いありません。

http://homepage1.nifty.com/eyeland/9999/stocklist.htm#s-240t

| | コメント (0)